
中期経営計画に明示した「リスクマネジャーのポジションを確立する」という目標を達成するためには、さらに踏み込んで顧客と対峙する必要がある。そう考えた営業担当が立案、実行したのは日本では前例の少ない新たな取り組みだった――。
課題
企業を取り巻くリスクが高度化・複雑化する中、日本ではリスクマネジメントを専門的に担う人材が十分に普及しておらず、多くの企業でリスクの定量的な把握や戦略的なリスクマネジメント体制の構築が課題となっていた。
当社も中期経営計画において「顧客に寄り添った唯一無二のリスクマネジャーになる」という目標を掲げていたが、その実現には従来の保険仲介の枠を超えた新たな取り組みが必要だった。
成果
お客様のリスクを体系的かつ定量的に把握できる仕組みを構築。
リスクマネジメント機能の高度化を支援し、経営判断に活用できる体制づくりを実現。
メンバー紹介
前川
企業保険部グループリーダー。顧客の経営や事業活動を深く理解し、リスクマネジメント機能の高度化を支援する本プロジェクトを企画・推進。顧客との対話を重ねながら、リスクの可視化から体制構築、経営判断支援までを一貫して担う。
関
リスクソリューション部マネージャー。前川や顧客と連携しながら、リスクの定量評価・定性評価を実施。リスク分析やリスクファイナンスの専門知見を活かし、企業全体のリスク把握と最適な意思決定を支援する。
顧客とともに、新たなリスクマネジメントモデルを構築
豊通インシュアランスマネジメントが掲げる中期経営計画の中に、「顧客に寄り添った唯一無二のリスクマネジャーになる」という目標があった。
前川は、その目標を実現するためには、従来の保険仲介業務の枠組みだけでは十分ではないと考えていた。
顧客が直面する課題や事業環境を深く理解し、リスクマネジメント機能そのものの高度化を支援するためには、経営や事業活動にさらに踏み込んで関与する必要があると感じていたのである。
「保険の手配だけではなく、お客様が自らリスクを把握し、経営判断に活かせる状態を実現したいと考えていました。そのためには、まず私たち自身がお客様をより深く理解する必要があると思ったんです」(前川)
顧客との対話を重ねる中で生まれたのが、当社が持つリスクマネジメントの知見を活かし、顧客とともにリスクマネジメント機能の構築を支援するという新たな取り組みだった。
この考え方は顧客にも共感いただき、当社の中期経営計画が目指す方向性とも一致したことから、プロジェクトは本格的にスタートした。
リスクを『見える化』し、経営判断につなげる
プロジェクトでまず着手したのは、事業活動に内在するリスクの洗い出しだった。
火災、自然災害、賠償責任、地震、リコールなど、企業活動に影響を及ぼすさまざまなリスクを整理し、定量・定性の両面から評価を実施。お客様がこれまで十分に把握できていなかったリスクについても可視化を進めていった。
評価を担ったのは、リスクソリューション部の関を中心とする専門チームである。
「リスクを正しく理解するためには、まずその量や影響を把握することが重要です。どのリスクを保有し、どのリスクを移転するべきなのか。その判断を行うためにも、リスクを客観的に評価する必要がありました」(関)
前川が現場で収集した情報と、当社が培ってきたリスク分析のノウハウを組み合わせることで、企業全体のリスクを定量的に把握できる体制を構築した。
さらに保険の手配にとどまらず、どのリスクを保有し、どのリスクを移転するべきかという観点から、最適なリスクファイナンス戦略の検討も進めていった。
顧客の中にリスクマネジメント機能を定着させる
リスク評価そのものがゴールではない。
重要なのは、その結果を経営判断や事業活動に結び付けることである。
前川は、顧客の経営層や関係部署との対話を重ねながら、将来を見据えたリスクマネジメントの方向性を整理していった。
「お客様自身が継続的にリスクと向き合い、主体的にマネジメントしていける状態をつくることが大切だと考えていました」(前川)
継続的なリスク評価の仕組みづくりに加え、保険ブローカーを効果的に活用するための考え方やノウハウも共有。顧客自身がリスクマネジメントを推進できる体制づくりを支援した。
その結果、顧客はリスクを体系的かつ定量的に把握できるようになり、リスクに対する経営判断の精度向上につながった。
顧客価値と当社戦略の双方を実現
本プロジェクトは、顧客のリスクマネジメント高度化に貢献しただけではない。
当社にとっても、中期経営計画で掲げていた「リスクマネジャーとして新たな価値を提供する」という目標を具現化する実践モデルとなった。
顧客の経営に深く入り込み、リスクを可視化し、意思決定を支援する。
保険ブローカーという枠を超えた価値提供の形を実現できたことは、当社にとって大きな成果だった。
また、一人の社員の提案から始まった挑戦が、新たなソリューションの創出につながったことも、本プロジェクトの大きな意義である。
プロジェクトが示した新たな可能性
この取り組みは、顧客と当社が共通の課題認識を持ち、リスクマネジメント機能の高度化という目標に向かって協創した事例である。
顧客の経営課題に深く入り込み、リスクを可視化し、意思決定を支援する。
本プロジェクトは、豊通インシュアランスマネジメントが目指すリスクマネジメントパートナーとしての姿を体現した取り組みとなった。
「保険仲介だけではなく、お客様の課題に応じてさまざまな形で価値を提供していく。それが私たちの可能性だと思っています」(関)
これからも当社は、保険仲介にとどまらず、顧客とともに新たな価値を創出し、持続的な成長を支えていく。